大江健三郎全小説 第5巻 (大江健三郎 全小説)本ダウンロード

大江健三郎全小説 第5巻 (大江健三郎 全小説)

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大江健三郎全小説 第5巻 (大江健三郎 全小説)本ダウンロード - 内容紹介 障害者の息子との共生を描く作品群。「ぼくはすでに自分の言葉の世界にすみこんでいる様ざまな主題に、あらためて最も基本的なヤスリをかけようとした。すなわち、個人的な日常生活の癌のように芽ばえた異常を核にして、そのまわりに、欺瞞と正統、逃亡することと残りつづけること、みずからの死と他者の死、人間的な性と反・人間的な性というような命題を結晶させ、再検討することを願ったのである」(著者・『個人的な体験』)【収録作品】空の怪物アグイー個人的な体験ピンチランナー調書新しい人よ眼ざめよ──共生 著者について 大江 健三郎大江健三郎(おおえけんざぶろう)1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞。94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。
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「空の怪物アグイー」「個人的な体験」「ピンチランナー調書」「新しい人よ眼ざめよ」の全4冊を2段組1本に凝縮した本書は解説も含めて640頁の大著で、なかなか読み応えがあります。しかしせっかく全小説を採録したというのに、前の2冊は60代、中の1冊が70年代、後の1作は80年代と、制作年次がまちまちなのは良くない。どうして時系列の順に発行できなかったのでしょうか。それはさておき、この4作すべてに共通するのは息子の登場で、障ぐあい児であるイーヨー選手の存在が、いかにその父親である作家の人世と創作に決定的な影響をもたらしたかがよく分かるコンピレーションであるとはいえましょう。この4作は、確かにフィクションではありますが、その創造の源流の基底部においては大江健三郎とその長男、光選手を主題とする私小説ではないでしょうか。「空の怪物アグイー」は徐々に深化し濃密の度を加えていく親子の相関関係のいわば序曲であり、「個人的な体験」「ピンチランナー調書」「新しい人よ眼ざめよ」はそれぞれ第2、第3、第4楽章という形式を備えた「障害問題交響曲」というても過言ではないでしょう。「個人的な体験」は、たまたま双頭の新生児が天からわが身に振りかかったというて身も世もあらずパニくり、正直に妻に打ち明けて「悲劇」と真正面から向き合うこともせず、いっそ医者に殺してもらおうと逆上したり、おのが「苦脳」とやらを慰安セックスでごまかしたり、ともかく信じられないくらい無様で見苦しい態度を示す男の物語です。されど同じように障ぐあい、児を授かった世間の普通の親から見れば、この主人公に態度は、ほとんど馬鹿同然で、いうら文芸創作の世界とはいえ、全編阿呆らしくて読むに堪えない愚作です。「ピンチランナー調書」で興味深いのは、健常者の父親が障害者の息子と入れ替わるなどその構想がはなはだ立体重層的で、物語世界が複雑多岐にわたること。これによって文学作品としての価値と面白さは倍増していますが、その根幹を父と子の私小説として透視すれば、要するに、父が想像力を駆使して子の世界を理解し、一体化を図ろうとした、涙ぐましい父子鷹物語なのであります。最後の「新しい人よ眼ざめよ」は、やたらめったらブレイクの引用が出てきて辟易させられますが、イーヨーを誘拐して東京駅で放置した「過激派」の言語道断の卑劣さには頭にきます。こういう連中のいったいどこが革命的なのでしょうか。
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